「外国にルーツを持つ子どもの困難」2022/10/28

こんにちは。清々しい秋の気配が感じられる季節になりました。皆さんいかがお過ごしでしょうか。

今回のコラムはBridge for Children, KGU 3年生の林瑞歩が担当いたします。

 

今回のテーマは「日本で暮らす外国にルーツを持つ子ども」です。「外国につながる子ども」というようにも呼ばれ、正確な定義はなされていない言葉ですが、「親の両方またはいずれか片方が外国出身者である子ども」という意味で使われています。

日本は単一民族からなる社会と思われがちです。皆さんも普段の生活で外国人と接することが少ないことから、このように思ったこともあるかもしれません。しかし、そうではありません。麻生太郎氏が2020年1月13日に行われた国政報告会で「日本は2千年、一つの民族」と発言したことから、批判を受けました。これは日本社会への認識が「単一民族観」から「他民族観」に変化していることを示しています。現在、日本で暮らす外国人の数は増えています。その数は280万人に上り、「外国にルーツを持つ人」を含めると、その数はより多いでしょう。この背景には少子化や高齢化による労働力不足が原因となっています。

2015年に生まれた赤ちゃんの50人に1人の両親のどちらかが日本人、片方が外国人です。日本国籍を持つ日本人の子どもの中にも、「外国にルーツを持つ子ども」は少なくありません。今日は彼らが抱える3つの困難を紹介します。

 

1つ目は、「言葉の壁」です。これは外国にルーツを持つ子どもが抱える最も大きな課題です。特に来日して直後の外国にルーツを持つ子どもたちは、日本語がわからないため学校の勉強についていけない、友達を作ることが困難なため、強い孤独を感じていることが少なくありません。文科省によると、日本語の分からない子どもは全国の公立学校に37,000人いて、このうち6,800人は何の支援も受けることができていません。

 

2つ目の困難は、「いじめ・偏見」です。日本で生まれ育ったり、幼いうちに日本に来ていたとしても、または日本国籍を持っていても肌・瞳の色、親が外国人であることからいじめられたり、偏見に晒され居場所を見つけられない子どもがいます。このことが原因となり、不登校状態に陥ってしまう子どもがいます。

 

3つ目の困難は、「経済的に苦しい」ということです。保護者の就労状況は言葉の壁などから不安定となりやすく、失業と就業を繰り返したり、工場のアルバイトで子どもたちを養っていたりする親は少なくありません。保護者や本人が日本語を十分に理解できないため、必要な支援や情報にアクセスすることができないことがあります。

 

今日は3つの「外国にルーツを持つ子ども」が抱える困難を紹介しました。私はゼミの進級論文を書くための情報収集でこの問題に触れることができました。外国にルーツを持つ子ども、そしてその家族をはじめとする多様な人々が住みやすい社会を考える第一歩になれば幸いです。

最後までお読みいいただきありがとうございました。

 

[参考文献]

相川真穂(2022). 『日本は「単一民族社会」?一多文化社会形成に向けて,問われる社会の「自己像」』. Opinions. https://web-opinions.jp/posts/detail/481, (参照 2022-09-24).

田中宝紀(2016).「日本で暮らす外国にルーツを持つ子どもが苦しんでいること-教育支援の地域間格差。言葉の壁から不登校や進学困難に」. Eduwell Journal. https://eduwell.jp/article/foreign-roots-children-living-japan-suffering-language-barrier-regional-disparities-educational-support/, (参照 2022-09-24).

 

野崎志帆(2022). 「知ってますか?外国にルーツを持つ子どもたちのこと その1」. 大阪市. https://onl.sc/ViRmfj, (参照 2022-09-24).