クリスマスを控えた街の華やかさに心弾むこの頃ですが、いかがお過ごしでしょうか。
今回のコラムはBridge for Children, KGU3回生の近藤陸人が担当します。
最後までお付き合いいただけると幸いです。
さて、みなさんはSDGsというフレーズをご存じでしょうか。
SDGsとは、MDGsの後継として2015年9月の国連総会で採択された17の国際目標です。その中に169の達成基準と232の指標が決められています。
Sustainable Development Report 2022によると、日本は達成度で163か国中19位、全体の達成度は79.6%であり、他国と比較すると達成に近づいているように思われます。
また、最近はテレビやネット広告、電車などの公共交通機関でもSDGsという言葉やカラフルな絵を目にするのではないかと思います。企業のホームページを覗くとSDGsへの取り組みや、CSR(Cooperate Social Responsibility)推進事業といった項目が必ずと言っていいほど見受けられます。
なぜ企業はホームページの一部を用いてSDGsへの取り組みを顧客や消費者へアピールするのでしょうか。1つの理由としては、多くの企業は年次で自社のCSR活動を「サステナビリティレポート」や「統合報告書」として世間に公表し、そこでSDGsへの取り組みについて言及することが求められるからです。
しかし、企業がSDGsに取り組む理由は本当にそれだけでしょうか?
私が考えるもう1つの理由は、SDGsに積極的に取り組むと、世間的な聞こえがいいからであると考えます。もちろん、事業の中でSDGsの各目標に対して真摯に取り組む、または配慮しているような企業はたくさん見受けられますが、少ない情報量ですべての企業が真にSDGsに取り組んでいると信じるのは、あまりにも短絡的なのではないでしょうか。
現実には、実態が伴わないのにSDGsに取り組んでいるように見せかける企業が多く見受けられ、世界的に問題視されています。そのような「SDGsウォッシュ」について企業に焦点を当て、少し綴らせていただきます。
SDGsウォッシュとは、造語なので学術的な定義はないのですが、ウォッシュとは1980年代に欧米を中心として使用された、うわべだけ環境に配慮していると見せかけた企業を批判するグリーンウォッシュという造語が由来であるようです。(ethicame, 2022) このグリーンウォッシュをSDGsに置き換えたものが「SDGsウォッシュ」として、企業の事業や行動に見受けられます。
具体的な事例をいくつか見ていきましょう。
1つは、衣類の製造過程で大量のCO2を排出し原産国の環境を汚染しているにもかかわらず、「天然素材使用」や「リサイクル素材○○%」といった都合の良い面だけを顧客や消費者にアピールするファッション・アパレル企業が挙げられます。
また、とある銀行が気候変動について重点的に取り組むと掲げ、グループ会社全体でCO2削減を策定しました。しかしながら、実際には方針と行動は異なっており、同年にCO2の大量排出がある石油産業に世界トップの融資を行うといった事例が挙げられます。
それでは、なぜ企業はSDGsウォッシュを起こしてしまうのでしょうか?
SDGs Connect(2021)によると、理由は大きく分けて2つあり、1つ目に企業がサプライチェーンの管理や把握ができてなく、原産国の状況が本社のある国に正確に伝えられていないことが挙げられます。2つ目に、社内コミュニケーションが円滑に行われてなく、社員がSDGsへの取り組みやCSR活動をなぜ行っているか十分に理解できてないケースで、積極的な活動ができていないことを外部から指摘されるケースがあります。
最後に、このような実態の伴っていない企業のSDGsへの取り組み、「SDGsウォッシュ」に対して私たちはどのように対処すればいいのでしょうか。
1番手早くできることは、ネットリテラシーを身に着けることです。私の以前のコラムでもお話ししましたが、現在の社会は高度情報化しており、私たちの想定の数倍、数百倍の情報で溢れかえっています。そのような中で、真実と嘘を見抜く力はもちろん大切ですが、一度真実であると思い込んだ情報に、もう一度疑いをかけてみてはどうでしょうか。
最後までお付き合いいただきありがとうございました。
参考文献
ethicame(2022) 「SDGsウォッシュとは?SDGsウォッシュと指摘されないための取り組み方も」https://ethicame.com/shop/information/SDGs35#1
SDGs CONNECT(2021) 「SDGsウォッシュとは?3つの事例や気をつけるべきポイントを紹介」https://sdgs-connect.com/archives/5524#SDGs3-2
Sustainable Development Report(2022) ‘Country Profiles – Japan’
https://dashboards.sdgindex.org/profiles/japan
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