原因ではなく目的


こんにちは。Bridge for Children, KGUの井上果南です。ゼミの進級論文を書くためにアドラー心理学について勉強して、とても面白かったのでこのコラムを通して皆さんにも知っていただきたいなと思いました。

生きていく中で困難にぶつかってしまうことが多くあると思います。しかし、そんな時にアドラーの考えを頭の片隅に入れておくと困難な場面に遭遇してもどんどん前に進んでいけるようなそんな気がします。
皆さんは、原因論と目的論についてご存知でしょうか。原因論は心理学者のフロイトが提唱した考え方で、目的論は今回紹介する心理学者のアドラーが提唱した考え方です。

あなたが困難に直面した際に、なぜそのような困難に直面してしまうのかという原因に着目するのが原因論です。一方で、困難に直面しようとしている本来の目的に着目するのが目的論です。

例えば、社会にうまく馴染むことができずに引きこもりになってしまったという事例があるとします。これに対して、あなたはまず何を考えますか?多くの人はこのような状況になってしまった原因を考えるのかもしれません。例えば幼い頃の家庭環境が原因ではないかと疑うことができるかもしれません。
一方で、アドラーは彼がこの状況を作り出している本来の目的があると考えます。例えば、引きこもりを克服すると、周りの人の注目を浴びなくなり、心配される特別な存在ではなくなってしまうのが嫌だということから、外に出たくないという気持ちを作り出していると考えます。何らかの目的を達成する為に困難を作り出していると考えるのがアドラーの目的論です。引きこもりになってしまった家庭環境という原因に囚われるのではなく、困難な状況を作りだしている目的に着目します。原因を探すことももちろん大切なことではありますが、原因ばかりを考えて解決策を考えているだけではなかなか前に進むことはできません。もしかすると、本当の目的に気付いていない、もしくは目を向けたくない目的があるのかもしれません。
過去の経験が今の状況を作り出していると考えるのではなく、目的が今の状況を作り出していると考えるのがアドラー心理学です。

人はみな目的に沿って生きています。目的は自分次第でいくらでも変えることができます。困難に直面した際に原因を探すのではなく、困難を手段とした目的があるのではないかと一度自分自身に問いかけてみてください。もしかすると本当の目的に気づき、今の自分から変わるためには少し勇気が必要になることもあるかもしれません。物事の見方を変えるだけで見えてくる世界は随分と変わり、少しの勇気を足してあげることで人はどんどん前に進んでいけるのだと思います。

最後までお読みいただきありがとうございました。